競売の取下げ
競売を取り下げることをあなた(債務者)側からはできません
競売を取り下げるには、開札期日の前日までに手続きが必要です!
法的には、期間入札における開札期日の前日までは、自由に取下を行うことができます。しかし、実務的現場の状況として、期日の前日までに決済が終了する見込みの無い任意売却での競売取り下げには債権者が応じないことの方が多いです。
開札期日移行の競売の取下げは容易ではありません。
買受申出人(落札者)が出た後の取下げには、その落札者の同意を得る必要があります。 さらに、買受人(落札者)が代金を納付すると、競売の取下げできません。
競売の流れ
1).住宅ローンの滞納
個人信用情報センターへ登録されます。俗に言うブラックリストへの登録です
住宅ローンの滞納が始まると金融機関等から郵便、電話での督促が来る。
金融機関によっては「このまま延滞が続きますと競売などの法的手続きを取ります。」という内容の督促状が送られて来る。
滞納期間が3ヶ月以上経過すると金融機関は「事故」とみなし、住宅ローンの融資した金融機関では個人信用情報センターに住宅ローンの延滞という理由での登録申請を行う。
2).期限の利益の喪失と代位弁済
全額一括返済を求める通知
住宅ローンの延滞が3ヶ月~6ヶ月以上続くと住宅ローンの融資した金融機関等より以後ローンの分割払いが出来なくなる旨を知らせる通知が来る。 これを「期限の利益の喪失」といいます。
住宅ローンの契約時に、ローン保証会社との契約をしていれば保証会社から金融機関に代わり返済した旨とその返済した額の一括返済を求める通知が来る。これを「代位弁済」といいます。
そして、この通知にも、「支払いがなければ、競売を含む法的手続きを取ります。」という内容が記載されています。 この段階に進むと、毎月の支払額に目処が付いたと連絡しても対応してくれません。 残金を一括で返済するか、競売になるのを待つか、もしくは任意での売却を不動産業者に依頼をして自宅を処分するということになります。
3).担保不動産競売開始決定通知
競売にかけられたことを意味します
代位弁済の通知後、債務者(たぶん貴方)側から支払いもしくは処分方法のアクションを起こさない限り債権者(保証会社等)は裁判所に対して競売によって、法的に処分する手続きを入ります。
その後、裁判所から「競売開始決定の通知」が送られてきます。
この通知が来てもローンの残債の一括返済で競売を取り下げることや債権者との話し合いで任意での売却に切り替えることは可能です。
4).裁判所から執行官の訪問
競売通知を受け取ってから約2ヶ月後
物件内部の調査と写真撮影
"競売開始決定の通知"後、裁判所より執行官が訪問し、問題の物件調査をします。 執行官によっては競売落札までの流れを説明してくれます。
執行官が調査後に不動産鑑定士によって物件調査書(競売3点セットともいいます)を作成します。 この調査書を作成するために物件内部の調査と写真撮影をします。
5).期間入札の通知
競売通知を受け取ってから約4ヶ月後
期間入札の通知および売却基準価格の公表
6).期間入札の公示
競売通知を受け取ってから約6ヶ月後、執行官が来てから約4ヶ月後
実務的にみて任意売却の申請が出来るのはここまで
現実の問題として任意売却に切替ることが出来るのは期間入札の公示前後までです。
この時点で、契約が完了または、決済の見込みが立っていなければ、任意売却に応じてくれる債権者・抵当権者は希です。
7).入札期日
競売通知を受け取ってから約7ヶ月後、執行官が来てから約5ヶ月後
購入者が既に存在していて、なおかつ現金の用意が出来ている場合には、この時点でも任意売却を認めてくれる債権者もおります。 その際には裁判費用等の負担も求められます。
8).開札日
入札された結果が出る日
理論的には、この開札の前日までであれば、競売を取り下げることが出来るとなってはおりますが、現実的には、この時点で任意売却に応じてくれる債権者は皆無でしょう!
9).売却許可決定
競売通知を受け取ってから約8ヶ月後、執行官が来てから約6ヶ月後
競売落札額の通知
期間入札が終了。 競売落札者からの競売落札額の入金確認が出来ますと債務者に裁判所から、執行抗告といって競売落札の額と異議の有無についての通知があります。
10).所有権移転
競売通知を受け取ってから約8ヶ月後
執行官が来てから約6ヶ月後
落札者の代金納付が確認されますと、物件の所有権移転が認められます。 所有権の移転が完了と同時に貴方の家は、貴方の所有物では無くなります。 所有権移転後にお住まいになられている場合には不法占拠者となります。
11).サービサーへの債権譲渡
競売で返済仕切れなかった残債の行方
競売落札後、各債権者に配当額が決定されます。
配当額が債権額に満たない場合には、債務者へ支払請求の通知があります。 もしくは、債権回収会社サービサーに債権譲渡された旨の通知とサービサーからの支払請求の通知があります。
債権譲渡は債務者の同意がなくても行うことが出来ます。
サービサーはその債権額よりもかなり低い額で買い取りますが、債務者に対しては元の債権額で請求を行うのが通常です。
未回収額の請求に対しては、分割で支払うことも出来ます。 また、債権譲渡された場合はその債権者との間で、ある程度の金額を支払うことで終了することが可能な場合があります。 債権者によって対応は様々です。
12).立ち退き
競売通知を受け取ってから約10ヶ月後
執行官が来てから約8ヶ月後
引越代・立ち退き料の交渉はご自分で
落札者によっては立ち退き料などを払ってくれるかもしれません。 引越代は競落者の好意です。
競売には時間がかかります
住宅ローンの返済をしなかった空白の時間
競売の期間は一切のローン返済が行われません。 競売後自己破産をなされるのならこの空白の期間が儲かったと感じられる期間でしょう。
しかし、自己破産をされないのであれば、この空白の期間に対しての罰則金、遅延損害金が加算されます。 競売で返済仕切れなかったローンの残額プラス遅延損害金の返済を求めれられることになります。
価値観の違いでしょうか?
自己破産をしないのなら絶対的に任意売却ですよ!